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カメラ自動転送機能比較

結論

Nikonは1620x1080画像が転送できれば良いなら文句の付けようがなく最高。電源をOFFにしても自動で転送してくれる。FUJIFILMはオリジナル画像のjpegを転送するなら最善。Panasonicは純粋にソフトウェアの完成度が低いがBluetoothは積んでいてギリギリ使える。FlashAirはかなり出来がよいがBluetoothではないので限界があり、生産終了してしまった。SONYは癖があり、Bluetoothを有効活用できてないのであまり好みではないが、FTP自動同期のような面白そうな機能もあって、出来はそこまで悪くなく使い方次第ではアリ。OLYMPUSは自動転送を持たず、自動転送前提で運用しないなら十分だが、自動転送前提だと面倒くさい。Canonは安定はしているものの最小限であり、ライバルNikon/SONYが強いこともあり、自動転送機能が欲しい人にとってはあまり選択肢にのぼりにくい。

個人的にはNikon > FUJIFILM > Panasonic > SONY > OLYMPUS > Canonという評価をしており、Pentaxが未評価である。

概要

この記事は長年にわたって「カメラで撮った写真を3秒でTwitterに上げたい」と願い続けた筆者がひたすらカメラの自動転送機能を使った感想を述べていくだけの、ありそうで無かった記事である。あったとしても使ってない人間が確かめもせず机上スペックで適当なこと言ってるのに絶望した負のエネルギーと結構なレンタル費用をかけてこの記事は書かれている。

なおカメラのスマホ連携アプリは勿論自動転送以外にも様々な機能があるが、筆者がそもそも自動転送しか使わないため、「使ってない人間が確かめもせず机上スペックで適当なことを言ってる」人間になりたくないので触れない。

Nikon

Nikon Z50をレンタルしてSnapBridgeの出来を調査した。

まず最初の接続確立。Panasonicなんかだとかなり悪夢で30分格闘したりすることもあるのだが、Nikonはアプリの案内に従ってやればすんなりいけるはずである。そのときに自動転送をONにするか聞かれるのでONにしておく。これだけで写真撮影はじめたら、何もせずともスマホに写真が転送されてくる。しかし転送されてくる写真は1620x1080サイズの写真でしかも変更不可能である。カメラ各社の中で唯一Bluetoothだけで転送している。いきなり電源落としても大丈夫。今のところインターネット接続を阻害されたこともない。家のWiFiに繋がってても問題なく動く。

オリジナルサイズの画像が必要であればカメラとWiFiに繋ぐ必要がある。カメラ側だけで操作は完結し、電源OFF時でも通信する設定にしておけばカメラの電源を入れる必要すらない。接続確立は多少待たされるがそこまで時間は掛からない。

1620x1080(2M)の画像サイズが許容できるのであれば、「ほー いいじゃないか こういうのでいいんだよ こういうので」(by孤独のグルメ)となること請け合い。

Z9で8Mモードがサポートされ、解像度が倍々で転送できるようになった。(ニュースリリースより。使い勝手は未確認)

また、Nikonの自動転送はカメラ内現像した画像や、別のスマホに送った写真など、デフォルトで転送しない画像も、後からフラグを立てると自動転送の対象になる。

現在はNikonを中心に利用していて、Z6/Z7は購入して同様の使い勝手であることを確認している。D780もレンタルして同様の使い勝手だった。D500も同様の使い勝手ではあったが、バッテリーの消費がかなり早かった。大体2016年以降のモデルが対応しており、ミラーレスのZは全機種対応である。

FUJIFILM

X-S10をレンタルしてFUJIFILM Camera Remoteを試した。

最初の接続確立は非常にスムーズで、メーカー各社の中では最も良くできているNikonと同程度だった。自動転送は、電源をOFFにするとBluetoothを活用してスマホと勝手にWiFi接続し、オリジナルサイズのjpegをスマホに送信していく。送信中に電源をオンにすると送信を中断して撮影することができるが、起動時間が伸びることがある。中断したものも後から改めて送信する。送信失敗率は若干高いが、失敗したときに潔く諦めるので、バッテリーがいつのまにか枯渇してたみたいなPanasonicのカメラでよくあった事案はない。

欠点は、オリジナルサイズのjpegなので転送はかなり遅く、撮ってすぐスマホに送られている感じはしないとか、電源OFF時にしか転送試行をしないので、失敗したときはカメラの電源ON/OFFを行う必要がある(逆にいえばそれだけで良いので楽)、転送中のスマホはインターネットに繋がらない、分1枚とか3分に1枚みたいな速度で撮影すると転送より蓄積の方が早くなるなどがある。すぐに欲しい場合、アプリの画面を開きっぱなしにしてカメラの電源ON/OFFをするととかなり安定してベストエフォートで転送してくれるので、欠点のリカバリはさほど困らない。放置で失敗が多いのは、スマホが通信中とかで切断を諦めるとか、バックグラウンドで起動しているので省電力系機能に阻まれているとかかもしれない。

WiFiに接続後の個別ダウンロードも可能で、特に難しかったり不安定な要素はなかった。ただ自動転送が優れていたため、ちゃんと使いこんだわけではないので参考程度に。

オリジナルサイズのjpegが必要であるなら唯一に近い最適解であり、小さいサイズで十分ならNikonの次に優秀。

SONY

古いSONY機に自動転送機能はない。メニューから1日分とかで纏めて転送をするか、接続してアプリから個別にダウンロードが必要。WiFiの接続確立にNFCが使えるのでそこは楽だが、NFCのタッチ自体そこそこ面倒くさいという気持ちがちょっとある。写真表示画面でNFCタッチするとその写真が転送される機能があり、これは大変良いものなのだが、そのたびにWiFi接続しにいくのでかなり時間が掛かってそこそこ不便。ちょっとだけ転送する使い方だと便利かもしれないが、ぼくの流儀ではない。(個人的にこのあたりのNFC機能割と気にいっていたのだが、新機種でNFCが廃止されたのを確認した。欲しい場合はスペックシートを確認してほしい)

レンタル中一度だけ接続確立が全くできなかったことがあって、大変焦った。また、カメラとの接続中もインターネットに繋げる。

Bluetoothがないので、ソフトウェアの出来は悪くないが、自動転送的な使い勝手としては今ひとつという結論にならざるを得ない。

昔書いた記事 SONYのカメラをレンタルした

α9からSONY機にもFTPを使った自動転送が付いた。FTPはスマホアプリと違って汎用的なので夢は広がる一方で、スマホで運用するには面倒くさいことが多く、やはり微妙という結論になりがち。安定性は確実に進歩しているし、転送そのものは早い。

最新のSONY機でFTP自動転送を試した話 α7C/α7IIIをレンタルした話

Panasonic

GX7MK3(with Bluetooth)

私が最初に購入したレンズ交換機はGX7だったのだが、あまりの自動転送の辛さに絶望してBluetoothに対応したと謳うGX7MK3を買ったという経緯がある。つまり旧メイン機のGX7MK3はBluetooth目当てで購入している。実際Panasonicで最初にBluetooth対応したのがこのGX7MK3であった。

ウリは何と言ってもBluetoothに対応したことで自動転送機能が付いたことだった。これで撮った写真は撮った端からスマホに取り込まれるぞ…!と思ったのだが、使っていくうちにあまりにも欠点が多いことが分かった。

しかしその欠点を甘受しても便利なので泣きながら使っていた。

GX7 (WiFi only)

私が最初に購入したレンズ交換機。自動転送はないのでWiFiで接続してダウンロードしてくる必要がある。この時点で面倒くさいが、GX7と接続中は当然のようにインターネットに繋げないので、Twitterに流すには一旦落とす必要がある…というのが本来の使い方だが、アクセスポイント経由で接続するモードもあって、スマホをテザリングして、そのWiFiにGX7から繋ぎに行くようにすれば、常時繋ぎっぱにすることができる。

しかし準備に死ぬほど時間がかかる上にカメラを一旦切ると再接続が必要でまた時間がかかる。カメラはスマホと違って電源入れっぱなし運用しないため。あと当然のように不安定だった。Panasonicの無線系機能全体的に不安定過ぎる。

CM10

Android搭載LUMIXというキワモノ。しかしこの目的には最適なアイテムであったのは確か。センサーサイズも結構大きいのでスマホよりは良く写る。ただしband1しか繋げないとかAndroid部分の劣化が早いので長く使えるカメラでもなかったのは確か。後継機ないの?

OLYMPUS

PEN E-PL10をレンタルしてきたので、OLYMPUSのOI.Shareについて。

OLYMPUSに自動転送機能はない。一旦WiFi接続して手動で持ってくる必要がある。OLYMPUS機はそもそも電源をOFFにしないとBluetoothの待ち受けをしない。OLYMPUS機で撮った写真をスマホに転送するには、まず電源を落とし、スマホからBluetoothでアクセスしてWiFi接続し、転送する必要がある。全部選択して転送するのは容易な上、一度転送した画像を対象から除外するのも容易なので、事実上の全転送はそこまで困らない。転送が終了したら勝手に電源も切ってくれる。失敗写真は上記方法で同期する前にカメラから消してしまえば転送されない。あとPEN固有かもしれないが、GX7MK3と比べると転送が遅い印象がある。

ただしこれはiOSのはなしで、AndroidではBluetooth接続の確立に失敗しまくって断念している。また、OI.Shareを色々弄っていると、ダウンロードするたびにアンケートに答えさせられるのはウンザリした。

自動転送しないならまあまあ使い勝手良さそうにみえるが、自動転送機能が無いのでそれがしたい向きにはPanasonicの方が良さそう。安定性はこちらの方が上そう。

Canon

EOS RPをレンタルしてCamera Connectを使った。

接続確立はカメラ側で多少の面倒くささはあれど、意味不明な動作に悩まされることはなかった。アプリを起動すると自動同期らしき機能があるが、これは自動同期をONにした状態で撮影しないと同期はなされない仕組みであり、控え目に言って名前詐欺。

カメラ側から転送をはじめる機能は見つからなかったので、基本的にはスマホ側からBluetoothでカメラのWiFiを立ち上げて繋ぎ、写真を選んでダウンロードしてくる仕組みになる。

転送されてない写真だけ転送とか、電源OFFでも立ち上がるとかの便利な機能はない。カメラとの通信中に4Gに繋ぐ分には問題ない。WiFi接続確立までの時間はSONYほど早くはないが、遅すぎることもそんなにない。

FlashAir

WiFi機能付きSDカード。Bluetoothのないものとしては最強の一角。なのだが生産終了してしまったので、アプリがストアから消えるのも時間の問題か。

アプリを起動するだけでFlashAirを探しにいき、接続を確立する。自動転送をONにしておけば、確立した時点でダウンロードを走らせる。WiFi接続中はインターネットに繋げないので、メインで使うカメラに挿すと、撮影中はインターネットから隔離される羽目になる。

あとこのWiFi機能のついたSDカードによる特有の問題として、高性能なSDカードに比べると書き込み速度が遅い(デュアルスロットのカメラで解決可能だがデュアルスロットのカメラ高い)、賢くSDカードの給電を省エネしてしまう機種だと、何故か繋がらない事象が発生する、などの問題がある。一方、メーカー問わず同じ機能が使えるのは大変便利なので、もっと頑張って欲しかった。ソフトウェアがすごい安定しているし。