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広角のススメ

なにこれ

超広角レンズが気に入ってしまい色々レンズを買った結果得た結論を吐くだけの怪文書。風景撮るのがメインの人なら間違いなく広角レンズは面白いので手を出してほしいのだが、代償も大きいので最初にどのラインを狙っていくのかのガイドライン的な用途を企図している。

基本的な話

視野角

人間の視野角は片目で見える範囲と両目で見える範囲があるが、片目で見る領域は細かいものを殆ど見ることができないため、実質的に両目で見える120度の視野角をカメラに収めることができると、見たものをそのまま写真に残すことができる。

ボケ

ある被写体を撮りたいとき、背景が写り込んでしまうのはノイズでしかないので、背景をボカし、被写体を際だたせるという表現技法を使うことがよくある。このような表現技法を使ってボケを写真に取り込む場合は十分にボカす必要がある。

ボケ量の変数はいくつかあるのだが、

などが主にある。また、どんなレンズでも平行の光にピントを合わせることができ、これを無限遠にピントを合わせるとか言うのだが、背景ボカしたいのに無限遠にピントが合ってしまうと、いくら遠くても、いくら明るいレンズでも、背景はボケない。焦点距離が短い広角レンズの場合、距離が少しはなれるだけでこの状態になってしまい、原理的に背景をぼかすことができない。このように広角では原理的にボケ表現が難しい。そもそも明るいレンズが少ない。

一方で焦点距離を伸ばせば伸ばすほどいいかというとそうではなく、単純に伸ばすとある点から明るさを稼ぐのが非常に難しくなっていくのと、いたずらにレンズが巨大化する問題、単純に離れるのが難しい問題などがあり、技術的に作りやすい50mmからやや望遠寄りあたりがボケ量を稼ぐのに最適なレンズになる。

遠近感

極端な望遠レンズで撮影すると離れている2つの物体が近付いてみえる、いわゆる望遠圧縮という効果がある。逆に超広角レンズを使った場合、奥行が強調された写真が撮れることになる。これを最大限に生かしたい場合は、単焦点でもいいのでとにかく広角なレンズを買うべきだが、抑えつつ広く撮りたい場合は調整が要求されるので、広角ズームレンズの方が優れている。

広角歪み

何も補正せずに広角レンズを作ると、魚眼レンズのようにビルのような直線的な建物が歪んで見えてしまう。これを広角歪みといい、魚眼レンズでない広角レンズであればレンズである程度補正があり、デジタルでも補正される。

換算58mm

非常に明るいいくつかのレンズが中途半端な換算58mmで作られており、おそらく技術的に最も作りやすいと思われる画角。使用感は50mmでも然程かわらない。

などがある。

換算50mm

標準画角と言われる。少なくとも広角ではない。技術的に作りやすいのでズームレンズの多くはここを通るし、小さくて明るい単焦点レンズも沢山ある。安い50mm単焦点はよく撒き餌レンズと言われる。(安くて買いやすく、レンズ沼の起点でもあるので)

画角的には47度なので視野角120度と比べると物足りない。風景には不適だが小さな被写体を撮ったり背景をボカす分には使いやすい画角。

換算28-30mm

キットレンズにある標準的なズームレンズが大体ここを広角端にしている。だいたいこの辺りから広角レンズと言われる。画角が75度あるのでギリギリ風景が撮れるライン。おそらくほとんどの人がここが使えるレンズを持っているとおもうので、撮った写真の画角を一度見て欲しい。ここの画角が多いのであれば、更に広角なレンズを買ってみるのも面白いと思う。また、ここのへんの単焦点はボケにも風景にも使えて万能な一本になりうる。

換算24mm

いくらかの若干高価なズームレンズが換算24mmを広角端にしている。この4-6mmの効果とコストは大きく、かなり風景が撮りやすくなる。その代わり値段、望遠端、明るさ、サイズなどが犠牲になっていることも多い。しかし風景を1本で撮りたいなら積極的に検討してみてほしい。

「広角の1mmは血の一滴」とよく表現されるが、このあたりから顕著に値段が上がったり重くなったり暗くなったりする。

換算20mm

これより広角寄りのレンズを使ったことあると物足りない画角ではあるが、奥行きの長さに違和感が生じないギリギリの画角という観点で重要。このへんならまだ広角歪みも少ない。風景基本でそこらへん気になる人なら20mmはかなり利便性の高い画角になる。技術的に難しいのでラインナップがそこまで豊富でないのが難しいところだが…。

一部に20mmはじまりのズームレンズがあり、風景撮影に最適な一本になりうる。

換算14-16mm

14mmの画角が114度であり、ここまできてようやく人間の視野角に追い付く。視野角とほぼ同じということになるので、見たまんま残せるようになる。視界の端の方のものが写真に残せるので、被写体だけでなく、その場所の雰囲気みたいなものも残せる。単射でパノラマ写真、みたいな使い方もできる。また十字路の2方向が同時に撮れる。ただし明らかに遠近感がおかしくなり、広角歪みもきつくなる。

広角レンズが広角過ぎても、デメリットに目をつぶって寄れば、望遠寄りのレンズと同じように撮れるので、広角であればあるほどいい、という話もある。逆の場合、下がらないといけないが下がれる距離には大体限界がある。

14mmともなると、出目金レンズという、最前のレンズが大きく湾曲して出っ張るようなレンズが殆どになる。出目金レンズはプロテクターを兼ねたレンズフードが外せなくなるとか、レンズフィルターが付けられないとか、レンズフレアが盛大に出るなどのデメリットがあり、できれば避けたいものになる。16mmであれば出目金レンズはかなり減るので妥協するのもアリだが、「広角の1mmは血の1滴」という言葉も忘れぬよう…。

14mm未満

筆者が体験したことない領域。小さなフォーマットだと広角レンズは難しいらしく、ほぼフルサイズが必須になる。使ってみたい。10mmぐらいまでならいくらかの選択肢がある。